咳感受性検査について

日本胸部臨床に「咳感受性検査」(藤村政樹 67(増刊): 5070-5074, 2008.)が掲載されている。
要旨は「咳感受性は, 気道過敏性や気管支平滑筋トーヌスとは相互作用のない独立した気道の反応性であり, 女性の方が男性よりも4倍亢進している. また, 咳感受性検査は, 慢性咳嗽の原因疾患の診断と治療効果の判定に有用である.
 「はじめに」乾性咳嗽の発生機序として, 少なくとも次の三つが考えられる. 第一は, 気道の咳感受性亢進に基づく咳嗽であり, アトピー咳嗽, 胃食道逆流症, アンギオテンシン変換酵素阻害薬による咳嗽など, 多くの原因の乾性咳嗽の機序となる. 第二は, 気管支平滑筋の収縮がトリガーとなって発生する乾性咳嗽であり, 咳喘息における咳嗽発生の機序となる. 第三は, 咳受容体の熱刺激による乾性咳嗽であり, マイコプラズマ感染症や百日咳が該当する可能性がある. 咳感受性測定は, 咳嗽発症の生理学的病態として咳感受性が亢進しているか否かを評価する方法である. 咳感受性に基づいて分類した咳嗽の原因疾患を表に示した. 咳感受性測定は, これらの疾患の鑑別診断に有用である. 表に示した咳感受性亢進による咳嗽は, 治療によって咳嗽が軽快すると咳感受性も正常化するため, 咳感受性測定は咳嗽の臨床経過を定量的に評価するためにも有用である. 」と述べている。
 文中で興味深かったのは、カプサイシン誘発咳嗽とクエン酸誘発咳嗽の発生機序が違うと述べられている。現在嚥下機能評価で使用される評価はクエン酸を使用したものが報告されている。今後、クエン酸使用による咳テストと、カプサイシンを使用した咳テストを比較し嚥下機能評価に違いはあるのか、誤嚥性肺炎リスクの感度・特異度の違い等の文献を調べる必要があると思われた。

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